ビジネスの基本はシンプルです。
- 見込み客を集める
- 商品を買ってもらう
- 繰り返し買ってもらう
この流れさえ構築できれば、ビジネスは安定します。お客さんも満足してくれていることになりますよね。ただ、ぼぉーっとしていてもこの流れはできませんので、あなた自身で作っていかなければなりません。
で、この流れを作るために必要なのがビジネスの設計図です。
シンプルに考えれば、商品を売るということは決して難しいことではありません。売りたい商品が欲しい人を集めて、その人の前にその欲しい商品を差し出せばいいだけの話です。ごくごく、当たり前の話です。
ですが、この当たり前のことができていないところが多い。
たとえば、
あなたの商品を欲しがっている人ってどんな人ですか?
- 性別は?年齢は?職業は?所得は?住んでいるところは?趣味は?家族構成は?・・・
- どういう性格で、どんな痛みを持っていて、どういう欲望があって、どんなことに不満があって、どんな不安があり、なにを恐れているのか?
- どんなところにいて、なにを見て、なにを考えていて、他にはどんなことに興味があるのか?
・・・
すべて答えられますか?
「砂漠で水を売る」のと同じように、商品やサービスは本当に必要な人の前に差し出せば勝手に売れます。
つまり・・・
儲からない会社というのは、
- 見込み客が欲しくもない商品を無理やり売りつけようとしているか、
- または見込み客のことを勘違いしているか(理解していない)、
- もしくは集めることができていないだけ
なのです。
では、この設計図について、少し詳しく解説していきますね。
ステップは次の通り。
- 見込客を集めてリスト化する
- フロントエンド商品を買ってもらう
- バックエンド商品を買ってもらう
- ファン・VIP客に進んでもらう
以上のステップです。
1.見込み客を集めてリスト化する
売ろうとしている商品やサービスがいくらいいものであっても、興味のない人には売れないし、売ろうとしても莫大な費用がかかってしまいます。だから、商品に興味がある人だけを集めてその人たちにセールスをしたほうが費用対効果に優れます。
商品に興味がある人を集める
そのためにまずやることは、市場からあなたの商品やサービスに興味がある人を集めます。市場とは、見込客がいるところと考えてください。そして、その人たちの連絡先を教えてもらいます。連絡先とは、名前やメールアドレス、住所や電話番号など、あなたの商品に興味のある見込み客と接触するために必要な情報のことです。
なぜ、見込み客の連絡先を教えてもらうかというと、見込み客にいきなり商品を買うか買わないかというやりとりの場合、見込み客が買わないという選択をした時には、その後セールスをしようにも連絡のしようがないからです。
この、商品に興味がある人だけを集める、ために使う商品のことを「無料オファー」といいます。無料オファーの役割は、見込客の連絡先を教えてもらうこと。これだけです。
今すぐ客とそのうち客
見込み客には二通りあって、「今すぐ客」と呼ばれるすぐに商品を買う人と、「そのうち客」と呼ばれる今すぐに買うわけではない、買うタイミングになるまで少し時間がかかるタイプの人がいます。
多くの会社は、今すぐ客と呼ばれるタイプの人だけをターゲットとするため、今すぐ客の人たちに対して、競争になり、多くの場合は価格競争になってしまいます。
それでも、顧客になってくれればその後、継続的にアプローチできるわけですが、価格競争の末に獲得した顧客というのは、値段の安さで購入した可能性が高く、その後、もっと価格が安いライバルが現れたり見つけたりすれば、次はそこで購入する可能性が高くなります。
さらに、価格競争によって獲得した場合には、利益も少なかったり、場合によってはほとんどなかったりします。なので、価格競争による顧客の獲得はメリットが少なかったりします。
そのうち客はほとんどの会社がアプローチしない
一方、そのうち客は数も多く(ほとんどの見込客はこちら側)、多くの会社が継続してアプローチしないので、購入のタイミングまで接触し続けることで購入してくれる可能性が高くなります。
一般的に、人は好きな人だったり信用できそうな人からものを買います。なので、他社がアプローチしていない間に、信頼関係を築いておくのです。
そのためには、見込み客の連絡先を聞いておき、見込み客の購入のタイミングまでコミュニケーションを取ったり役に立つ情報を伝えたりしておくことが必要になります。インターネットを使う場合は、ステップメールという仕組みを使うことで、この部分を自動化することができます。
見込み客リストを集めることがビジネスのスタート
もし、最初のセールスのタイミングで買わなかったとしても、連絡先がわかっていれば、その後、何度でもアプローチすることが可能です。だから、見込み客に対してはまず、連絡先を教えてもらいリスト化するのです。
このリストのことを見込み客リストと言います。そして、見込客リストを集めることが、本当の意味でのビジネスのスタートになります。
見込み客の集め方
見込客の集め方ですが、売ろうとしている商品に関連するプレゼントを用意して、欲しい人に手をあげてもらうようにします。プレゼントは無料の小冊子であったり、pdfのレポートなど。または、無料や低額でのお試しなどを使います。
たとえば、住宅リフォーム業なら、業者を選ぶ基準やリフォームをする前に知っておいたほうがいい情報などを小冊子やpdfレポートを使って配布したり、塾やスクールなどは無料のお試しレッスンなど。士業やコンサルタント、コーチ・カウンセラーなどは無料相談や無料のセッションを行うなどの方法があります。
一昔前の新聞屋のように、新聞とは関係ない洗剤やスポーツイベントの観戦チケットなど、商品と関連性のないものをプレゼントしても、長期的に取引してもらえる可能性が低いのでやらないほうがいいです。
2.フロントエンド商品を買ってもらう
無料プレゼントや無料お試しなどで見込み客を集めたら、次にやることは最初の商品を購入してもらうことです。この最初に購入してもらう商品のことを、フロントエンド商品といいます。
フロントエンド商品にはある役割があります。その役割とは、お客の財布を開かせる、ということです。
「えっ、どういうこと?」
と思ったかもしれませんが、人は初めてのところと取引をするのにすごく抵抗があります。なぜなら、失敗したくないからです。
失うことに対する痛み
人は何かを手に入れる喜びよりも、失う痛みの方を大きく感じます。これは、損失回避性と呼ばれ、2002年のノーベル経済学賞を受賞した心理学者のダニエル・カーネマン教授らによって明らかにされています。
初めてのところと取引をするということは、失敗してお金を失うリスク = 痛み を負う確率が高いので、それよりも、過去に取引したことがあるところから買うことでリスクを減らそうとします。
初めての取引は不安だらけ
あなたも経験があることだと思いますが、初めて取引をするお店や会社などに対しては、とても不安になりませんか?ちゃんとした商品やサービスが受けられるのか?購入した後ちゃんとサポートしてもらえるのか?値段は適正なのか?どんな人が売っているのか?などなど。
逆に考えると、新規で取引してもらう、ということは、それらの壁を乗り越えなければならないということになります。
そう考えてみると、一度取引してもらう、ということがいかに大変なことかわかると思います。なので、一度取引してもらう = 財布を開いてもらうための商品、が必要になるのです。
財布を開いてもらうための商品とは?
この時、財布を開いてもらうための商品というのは、単体の商品やサービスだけのことではありません。価格や保証、決済条件や購入特典などすべての取引条件のことです。
そこで、見込み客が財布を開きやすいような取引条件を提案する必要があります。思い切った割引であったり、他では手に入らないような魅力的な特典であったり、見込み客が使いやすいような決済方法であったり、返金やフォローアップなどの保証であったり・・・。
そういったもの全てを含めた取引条件を提案します。その提案のことをオファーと言いますが、このオファーを魅力的にすることで見込み客が財布を開きやすいようにします。
すべてのリスクは販売者が取る
基本的な考え方としては、「お客さんが購入する時の全てのリスクは、販売する私たちが取ります。だから、安心して試してみてください。」というメッセージを発信するようにします。その商品に興味がある人だったら、「ノー」と断ることの方が難しいような取引条件を提示するのがポイントです。
お客は初めて取引するところに対しては不安があるので、購入するための障壁を下げることで購入してもらいやすくするのです。
顧客リストが最大の資産
一度購入して一定の満足をしてもらったら、大体は次回からの購入も見込めます。なぜなら、お客は失敗したくないからです。失敗したくないから初めての購入には慎重になります。ですが、そこを乗り越えることができたら、次回は選んでもらえる確率が大幅に上がります。そうしたら、次はリピートしてもらったり他の商品を買ってもらうようにします。
また、一度購入してもらったお客は、見込み客から顧客に変わります。ビジネスにおいては顧客が最大の資産です。顧客リストがあれば、何度でもセールスが行えるからです。 なので、見込み客から顧客になったということは、お客のレベルが一段階あがったということになり、利益を上げやすくなったということになります。
3.バックエンド商品を買ってもらう
顧客リストのお客に対しては、次なるアプローををします。それは、商品をリピートしてもらったり、別の商品を買ってもらうことになります。そして、顧客リストに対してのセールスは、コストがほとんどかからずにアプローチできますから、利益を上げるのにとても有利になります。
バックエンド商品とは、フロントエンド商品を買ってもらった新規客に買ってもらう商品のことです。バックエンド商品の役割は、「利益を出すこと」です。
商品の売れやすさを考えた場合、まだ一度も商品を買ってくれたことのない人と、一度でも買ってくれたことのある人では、どちらがまた買ってくれやすいと思いますか?
前にも説明したとおり、人は失敗したくありませんから、一度買って特に問題がなければ、次回もそこから買う確率が何十倍も高くなります。また、より高い商品も買ってもらいやすくなる、というのは理解してもらえると思います。
儲かっている会社と儲からない会社の違い
儲かっている会社というのは、そこをちゃんと理解していて、見込客を集める努力を続けながら、顧客への継続的なアプローチも決して怠ることはありません。
ですが、儲からない会社というのは、せっかく自社の商品を購入したことのある人に対して、関係性を切らさないためのアプローチをすることはなく、新規客を集めるための集客ばかりに力を入れているのです。
コストゼロのセールスが可能になる
また、基本的に、フロントエンド商品を買ってもらうところまでは、広告費などのコストがかかっています。
しかし、一度取引してもらい顧客リストの中に入れば、広告費などのコストをかけずにセールスをすることができます。メールなど、インターネットを使えば、実質コストゼロでセールスすることができますから、それだけ大きく利益を取ることができます。
ですが、なぜか多くの会社は既存客へのアプローチをおざなりにし、わざわざ利益をどぶに捨てるようなまねをしています。ホント、理解に苦しみます。
儲かる仕組み = ビジネスを始めるときにまず考えるべきこと
もうお分かりだと思いますが、これから私たちが行っていくのは、
- まず見込客を集めること
- そして、一度購入してくれた顧客との関係性を切らさずに継続的にアプローチして
- 繰り返し商品を買ってもらうための仕組みを作り上げること
です。この儲かる仕組みのことをビジネスモデルといい、ビジネスを始めるときに、まず考えるべきことです。
顧客生涯価値
一度取引してくれたお客さんが、取引をやめるまでにもたらしてくれる利益のことを顧客生涯価値といいます。この顧客生涯価値の平均値がわかっていれば、新規の顧客を獲得するためにどのくらいの費用をかけられるかもわかります。
たとえば、フロントエンド商品を販売したときの利益が5,000円、バックエンド商品を販売したときの利益が10,000円だとします。そして、フロントエンド商品を買ってくれたお客さんのうち、30%の人がバックエンドを買ってくれるとすると、
- フロントエンドの利益5,000円 + (バックエンドの利益10,000円 × 30%) = 5,000円 + 3,000円 = 8,000円
が、顧客生涯価値(の平均値)ということになります。そして、この顧客生涯価値の8,000円が、新規客を獲得するために使える上限と考えてください。
儲かるビジネス、儲からないビジネス
この時、1人当たりの新規客を獲得するための費用(顧客獲得単価といいます)が、顧客生涯価値を下回っていれば、そのビジネスは利益を出すことができます。つまり、顧客を獲得すればするほど儲かる、ということです。
逆に、顧客獲得単価が顧客生涯価値を上回っていれば、顧客を獲得すればするほど赤字になってしまいます。つまり、最悪の場合は、ビジネスを維持することができなくなります。
ですので、これらの数字を把握しておくことが大切になってきます。
- 顧客獲得単価 < 顧客生涯価値 なら儲かり続ける
- 顧客獲得単価 = 顧客生涯価値 ならビジネスを維持していける
- 顧客獲得単価 > 顧客生涯価値 なら赤字なのでビジネスを維持するのが難しくなる
この関係を覚えておいてください。
優良顧客を贔屓する
パレートの法則、というのを聞いたことはありますか?28(にっぱち)の法則、あるいは80/20の法則ともいいますが、ビジネスで使う場合は、2割のお客さんの売上げが売上げ全体のの8割を占めている、ということを意味します。
この2割のお客さんというのは、何回もリピートしてくれたり、いろいろなバックエンド商品を買ってくれる、上得意のお客さんです。
ですので、この2割のお客さんを贔屓することが安定した利益を出すための秘訣 = 顧客生涯価値を大きくすること、になります。
4.ファン・.VIP客に進んでもらう
さらに、この2割のお客さんというのは、よりリピートしてくれやすく、より高額商品を買ってくれやすくもあります。なので、この2割のお客さんに対して、より価値の大きな高額商品を用意しない、ということは、、みすみす売上げを失うことにもなります。だって、商品を買う準備をして、待っていてくれるのですから。
特別な価値のある商品を提供する
また、このグループのお客さんが、ほとんどの売上げを作ってくれるわけですから、なにか特別な価値のある商品やサービスを提供しなくてはいけません。
たとえば、航空会社なら、ビジネスクラスやファーストクラス、プロ野球やサッカーなら、年間シートや個室の年間シート、さらには特別な飲み物や食べ物などを用意したりするようなVIP用の年間シートなどもあると思います。そして、そういったものって、すぐに売り切れたりします。
そのようなVIP向けの商品やサービスって、いったいどのくらいの利益を生んでくれるのでしょう?
すべてのお客を平等に扱うのはいいことか?
日本人ってもともと真面目なせいか、すべての人を平等に扱わなければならないと思っています。ですが、それは思い込みです。
逆にあなたにお客さんの立場に立って考えてもらいたいのですが、たとえば、行きつけの飲食店に行ったとき、一般のお客には出さないような裏メニューとか、たまたま入ってきた特別な素材の料理とか出されたら嬉しくないですか?
人には、認められたい、という願望もありますし、人に後れをとりたくない、という願望もあります。
また、女性には、大切にされたい、という願望もあります。
もし、あなたが懇意にしていて、頻繁に利用する店舗などが、あなたを含めてすべてのお客を平等に扱っているとしたら、そのお店に行きたいですか?
そのお店で、今以上にお金を使いたいと思いますか?
自分を大切にしてくれるところから人は商品を買う
お客の立場に立って考えてもらえばわかると思いますが、お客は平等を嫌います。お客は自分を贔屓にしてくれるところにいきます。自分を大切にしてくれて、大切にしてくれているということをハッキリとわかる形で表してくれるところにいきます。
あなたのビジネスはどうでしょうか?たくさんお金を使ってくれるお客さんと、そうでないお客さんを平等に扱っていますか?それとも、たくさんお金を使ってくれるお客さんを贔屓していますか?
今一度、考えて見てくださいね。
まとめ
いくらいい商品やサービスがあるとしても、その商品を欲しい人が目の前に現れなければ商品は売れません。なので、商品やサービスに興味がある人を集めて、いったんリスト化してください。
そして、3種類の商品を使って、次の段階に進んでもらうようにします。
3種類の商品と役割
- 無料オファー → 連絡先を教えてもらうための商品
- フロントエンド商品 → 財布を開いてもらうための商品
- バックエンド商品 → 利益を出すための商品
儲かる仕組みのためのステップ
- まずやることは、見込客リストを集めること
- 見込客を集めるために無料オファーをする
- 見込客リストに、フロントエンド商品のオファーをする
- フロントエンド商品を買ってくれた、顧客にバックエンド商品をオファーする
- バックエンド商品を買ってくれたファンやVIP客に、より高い価値を持った高額商品を用意して、さらに利益を上げるようにする
以上の流れを頭の中にたたき込んでおいてくださいね。